🚃乗り物を愛するアイドル、ミライスカート児島真理奈も感激!五位堂検修車庫
乗り物を愛するアイドル、ミライスカート児島真理奈も感激!
快適と安全を支える現場-近鉄・五位堂検修車庫見学記-
普段なにげなく乗っている電車だが、その快適性と安全性は多くの人の日々の働きによって守られている。特に車両の点検・整備は、普段は人の目に触れることはないものの決して欠かすことができない重要な仕事だ。そこで今回は、近鉄電車約1900両の点検修理をこなす五位堂検修車庫をミライスカート児島真理奈が見学。鉄道の快適と安全を支える現場の一端を紹介しよう。
※大阪スポーツ連載「OSK 大人の社会見学」をサイト用にアレンジした内容です。
近鉄広報福原稔浩さん(左)の説明を熱心に聞くミライスカート児島真理奈。
近鉄電車、最古の車両「近鉄電車1形車両」へ!
今回やってきたのは、近畿日本鉄道株式会社の五位堂検修車庫!近鉄電車のメンテナンスを一手にこなす大規模な検修車庫は、鉄道ファンならテンション暴発間違いなしの場所だ。今回のゲストアイドルミライスカート児島真理奈も到着前からウキウキである。ガイドしてくれるのは、近鉄広報の福原稔浩さん。幅広い知識と軽妙な解説で多くの鉄道ファンから支持されており、数々のメディアにも登場している名物広報マンである。
こちらが美しい状態で整体保存されている「近鉄電車1形車両」。
まずは屋外に置かれている「近鉄電車1形車両」の見学だ。近鉄の前身である大阪電気軌道が大正3年4月30日に営業を開始した際に登場した、いわば近鉄電車最初の車両である。当時の最先端の技術が組み込まれており、上本町~奈良間を55分で走行したという。
「中はちょっと匂いがきついかもしれませんが…」と言いつつ、一同を中に誘う福原さん。確かに古い匂いが充満している。だがこれは…。「すごいです!100年以上前の香りがします!」という児島の言葉のように、まさに歴史の香りである。
福原さんの説明に感心しきりの児島。なお、頭上にあるのは車内広告だ。
中は木の床板、本皮のつり革、さらにはシートの側面に花の彫刻があしらっているなど凝りに凝った内装はもはや美術品だ。扉やベルももちろん手動で、児島はベルを鳴らさせてもらってご満悦だ。
100年前の香りに満ちた車内。もちろん床はすべて板張り!
さりげなくあしらわれた花が上品。
手動のベルを鳴らして「……いい音です!」とご満悦の児島。
運転スペースに入らせてもらい、今から見るとものすごくシンプルな装置を前に「速度は目視で確認するんですね」という福原さん。その説明に「100年前の運転士さんすごい!」と、またまた驚愕である。
速度計もないシンプルな運転台。だが、この空間もロマンに満ちている。
生駒山を越えるために、他に類を見ないほどの出力を持つモーターを2機も搭載していたというこの車両は、パワーと乗り心地を兼ね備えた当時の最高級車両だったのだ。まさに「観光特急しまかぜ」など人気列車を続々と生み出す近鉄の出発点ともいえる車両である。
客席にゆったり座って、100年の鉄道の歴史に思いをはせる児島であった。
そしていよいよ検修車庫内へ! と思いきや、福原さんが屋外に止まってる車両のひとつを指差した。「今日はラッキーですよ!」。その先には、大阪~名古屋間を走る特急アーバンライナー、しかも2編成しかないという近鉄特急70周年のロゴが入った車両が鎮座しているではないか!
まったくの偶然で、近鉄特急70周年ロゴの入ったアーバンライナーが!
70周年記念車両の前でポーズ!こんなアングル、他では決して撮れない!
当然、その前に立って記念写真。他では決して撮れないその超レアなアングルにますますテンションが上がる!
車庫内はいてまえ打線なみの大迫力!
興奮状態のまま中にはいると、そこには整備車両がズラリと並んでいる。まさに往年の近鉄いてまえ打線のような迫力だ。五位堂検修車庫では1日に2~3両の車両をうけいれ、それぞれ7日間かけて検査・修繕を行うという。1車両につき約12000もある検査項目を、約310人の職員が分業しているのだ。
車庫内にズラリと並ぶ近鉄電車車両。普段見慣れた車体もこう見ると不思議な感じだ。
車庫にはいってきた車両は、まず車体と台車を切り離される。その作業は40トンクレーンを使った大掛かりなものだ。ちょうど先ほどのアーバンライナーが定位置に牽引されてきた。「これから、この車体をクレーンで吊り上げます」と福原さん。「おお~!」と児島の口からどよめきが上がる。普通は見ることができない空飛ぶ列車、しかもアーバンライナーである。絶対にかっこいいはず!
牽引されてきたアーバンライナー。シンプルに言うが、ただただかっこいい。
牽引されてきたアーバンライナーの車体にアームがゆっくり降下し、数人がかりでの安全確実な作業により車両に固定される。「あんな風に固定するんですねえ…」と、児島も目が離せない様子だ。
車両にアームを数人がかりで固定する。確実な作業と確認を経て次の行程に進む。
見上げれば40トンクレーンの運転席。電車の運転席と同じくらい、いやそれ以上に憧れる!
念を入れた確認を経て、いよいよ吊り上げ開始! 車庫内に響く警報とともに、大きな車体が動き出す。「すごい…ドキドキが止まりません!」と、目をキラキラさせる児島。アーバンライナーの車体は思っていた以上のスムーズさで浮上していく。どこからか「ワンダバダバ…」というBGMが聞こえてきそうなかっこよさ!
ゆっくりと、だがスムーズに浮上していく車体の様子に満面の笑みがこぼれる。
ついに飛び立ったアーバンライナー。児島、万感の思いをこめてハイテンションなポーズ!
クレーンにより吊り上げられた車体は車庫内を移動し、整備用台座の上に載せられる。他の車両の上を越えて所定の位置に空中移動していくアーバンライナーを見送る児島。壮観としか言いようがない、その動きに心を奪われてしまったようだ。
所定の位置に空中移動をしていくアーバンライナー。何度でも見たい、圧巻の場面だ。
空中移動した車体は所定の位置の整備用台座の上に載せられる。そこでエアコンやシートなどを外し、細かく分解されて点検、整備されていくのだ。
普段は絶対見れない電車の裏側!
興奮さめやらぬまま、他の作業も見学! 普段は絶対見られない、台車を外した車体の底面を見せてもらうとパイプなどがいきかう思った以上に複雑な構造。児島は「こんなの普段見る事ができない・・・感激しました!最高ですね」とワクワクがあふれる笑顔だ。
初めて観る電車の裏側の、思った以上の複雑な構造にびっくり。
実はこんなに大きい台車。普段見えているのはほんの一部なのだ。
そして、同じく普段は見ることがない台車部分も実際に目の当たりにすると意外なまでに大きい。「この台車をハンマーで叩いて、音の反応でナットやボルトにゆるみがないか判断するんです」と、福原さんがハンマーを貸してくれた。「やってみます!」と嬉しそうに台車をコンコン叩いてみる児島。
ハンマーで叩いた音に耳を傾ける児島だが…。
児島は「うーん…これは…わかんないです!」とひたすら真剣な顔!「今の音の感じだと問題ないですね。本当はちょっと音が違ったほうが参考になったんでしょうけど」(福原さん)。いえ、むしろしっかりと整備されていることがよくわかりました!どれだけテクノロジーが発達しても、こういった作業では人間の耳と感覚が物をいうことなんですね。
そして次は車体の塗装の流れだ。水洗い等の作業を経た車体を数人がかりでしっかりとマスキングしている。その車両は車庫内のレールに沿って移動し、巨大な塗装装置に収容され、塗装されるのだ。
マスキングされた車両が塗装ブース内を移動していく。
このノズルから噴出す塗料が車両全体をまんべんなく塗装するのだ。
塗装装置内のノズルから塗料が噴出され、自動的にまんべんなく塗装されていくわけだ。塗装の周期は通常の車両で4年、特急で約2年とのこと。塗装がすめば乾燥スペースへと移動するが、その中は温風が立ちこめており夏場に作業する際はかなり大変そうだ。塗料に匂いは大丈夫かと気にするまわりをよそに、「すごくいい香りです!」と笑顔の児島。メカニックの匂いが好きな女子に悪い子はいない!
車輪の重さ、実に300キロ!
電車の車輪はこの大きさ!こんな状態で見る機会はそうそうない。
とにかく車庫内はここでしか見ることができないものばかりなので、どっちを向いても気になってしまう。歩きつつも目に入ったのは大きな円盤。ギャートルズのお金みたいだが、あれはやっぱり……?「車輪ですね。あそこで削り直しの作業をしています」と福原さん。電車の車輪はおよそ300キロもあるとか。付着物があると安全性はもちろん乗客の乗り心地にも影響があるため、念入りにチェックしたうえで必要な場合は旋盤で削り直しを行うのだ。
こまやかな作業のひとつひとつが安全性や乗り心地に影響してくるのだ。
ツルッときれいな状態の車輪。改めてみても、とにかく大きい!
その他、普段は外部からは見えない連結器や電動発電機などのメカニックの数々と、作業に集中する職員のみなさんの姿に児島もおおいに感銘を受けていた。
ブレーキの仕組みを説明してもらい「なるほど!」と納得の児島。
何人もの手と目を通す作業のひとつひとつが安全性に結びついている。
夏場は大変な環境になる車庫内でも、集中力を切らさず安全確実に作業。
運転席が似合うアイドル、児島真理奈!
整備中の車両内に入らせていただくと、そこには普段見慣れた客席がズラリ。中にはシートが外されている箇所もあり、そこはまた不思議な感じでもある。
シートを外した車内はなんだか不思議な空間…!
福原さんによると、ちょうど客席の回転をチェックするところだという。進行方向を向いた2人席のクロスシートが回転してロングシートに転換する、その一連の動作を見ることができるというのだ。よく考えると、この様子を車内で見るという状況もめったにない。ワクワクしながら見ているとシートが前方から順に回転しだした!
ブロックの前方、手前側の座席から順に回転していく。
通路を挟んで左右同時に回転していく様子はシステマチックで見ていて気持ちいい。
やがて、全座席が窓側を背にしたロングシートに!
前方から順に回転していき、やがて壁に背もたれが並ぶロングシートに転換完了!思わず「おお~!」と歓声が上がる。この構造はデュアルシートというらしいが、システムもかっこいいが名前もかっこいい。
さらにその車両の運転席に座らせてもらえることになった児島。誰もが憧れる電車の運転席だ!「いいんですか?嬉しいです!」と、この日何回目かという満面の笑顔で座席についた児島。嬉しそうに装置を触り、ご満悦である。ここで決め顔で1枚撮っておきましょう!
教えてもらった通り、右手はブレーキを握り左手で指差し!
「右手は常にブレーキを握っているので、指差しは必ず左手になります」という福原さんの言葉に、キビキビした動きで指差しをポーズ行う。その表情は実にキリッとしている。いい絵が撮れました!
五位堂検修車庫の見学に大満足の児島。
運転席からの景色も満喫した児島に今日の感想を聞いてみた。「初めて家族で近鉄電車に乗った時のことを思い出しました。設備や車両もすごいですが、働いてる方々も素敵です!すごくいい経験ができて、幸せです!」と満開の笑顔。普段なにげなく乗っている鉄道は、ここのみなさんのような縁の下の力持ちともいえる存在もあって、日夜安全に動かされているのだ。
なお、普段は入ることができない五位堂検修車庫だが、秋に開催される「きんてつ鉄道まつり」では様々な催しとともに見学することが可能だ。ぜひお誘い合わせのうえ見学にいかれてはいかがでしょうか。
撮影・文/前川元
【近畿日本鉄道株式会社 五位堂検修車庫】
約1900両ある多種多様な車両を定期的に分解して検査、修繕、改造を行う施設。多くの従業員と整備ラインを配置し、約7日間かけて車両のメンテナンスを行う。毎年2日間開催する鉄道まつりの際には、全国から多くのファンが集い賑わう。
(所在地)奈良県香芝市狐井373番地
児島真理奈(ミライスカート)
2015年にメジャーデビューを果たした京都を拠点に活動するアイドルユニット『ミライスカート』。はんなり&ポップをコンセプトに掲げ、凛とした佇まいとライブパフォーマンスを武器に精力的な活動を行っている。
http://www.miraiskirt.com
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