「36ぷらす3」体験レポート ~博多から鹿児島中央へ、“走る九州”の旅~

2025年1月23日、JR九州が誇る人気観光列車「36ぷらす3」の赤の路ルート(博多駅→鹿児島中央駅)を体験しました。この列車は九州の魅力がぎゅっと詰まった特別な観光列車で、乗車前から期待が膨らみます。


乗車前からワクワク! JR博多駅の特急列車たち

博多駅に到着すると、そこは九州の鉄道の玄関口。特急列車が次々に発着する姿に、鉄道ファンならずとも胸が高鳴ります。今回乗車する「36ぷらす3」の存在感も特別ですが、周囲を走る魅力的な列車も見逃せません。

  • 特急ゆふいんの森号
    湯布院への観光客に人気の、木の温もりあふれるデザイン列車。
  • 特急ハウステンボス
    ハウステンボスへの玄関口となる、カラフルでユニークな列車。
  • 特急ソニック
    青いボディが特徴的なスピード感ある列車で、博多から大分方面へ向かいます。
  • 九州新幹線「かもめ」
    2022年にデビューした最新型新幹線「N700S」。白く美しいボディが印象的です。

このように、九州各地を結ぶ特急列車たちが博多駅を彩り、旅への期待をさらに高めてくれました。列車好きにはたまらない光景で、「36ぷらす3」に乗車する前からすでに旅が始まっているような感覚を味わえます。


九州とともに走る「36ぷらす3」とは?

「36ぷらす3」は、九州が世界で36番目に大きい島であることにちなんで名付けられた観光列車です。名前には「驚き、感動、幸せ」というテーマが込められており、JR九州、地域、乗客が一体となる旅を目指しています。「39(サンキュー)」=「感謝」を象徴する旅する列車として、九州をぐるっと一周する5つのルートで運行されています。

また、列車デザインは水戸岡鋭治氏が手がけ、車内外の美しさや快適さが目を引きます。特に沿線地域のストーリーを楽しめる“D&S列車(デザイン&ストーリー列車)”として、乗るだけで九州の魅力を体感できるのが特徴です。


赤の路ルート(博多→鹿児島中央)

今回のルートは「赤の路」。博多駅を出発し、玉名駅や牛ノ浜駅を経由して鹿児島中央駅を目指すコースです。過去には月曜ルート 博多から佐世保に乗車

  • 玉名駅では熊本県北の特産品が販売されており、地元の名産品に触れることができます。
  • 牛ノ浜駅では、阿久根漁港で水揚げされたイワシの丸干しが楽しめます。地域の方々による大漁旗でのお出迎えも心温まる体験でした。

車窓からの絶景 ~東シナ海の風景に癒されて~

赤の路ルートで特に印象的だったのが、車窓から望む東シナ海の絶景です。列車が海沿いを走る際、青く広がる海と穏やかな波の風景が広がり、その美しさに思わず息をのみました。心地よい海風を感じさせる景色とともに、移り変わる自然の中で過ごす時間は、この列車ならではの贅沢なひとときでした。

山々の緑、川の流れ、そして海と、九州の多様な自然が次々と目に飛び込んでくる車窓からの景色は、この旅の大きな魅力です。移動中も飽きることなく九州の風土を堪能できました。


車内のデザインと座席体験

「36ぷらす3」の車内は細部にわたりこだわりが詰まっています。

  • グリーン車(5号車)
    ゆったりとした2+1列の配置。シート背面には革製ポケットがあり、広めのテーブルで食事を楽しむことができました。快適な座り心地で旅を存分に満喫。
  • グリーン車(6号車)
    熊本県八代産のイ草を使った畳が特徴。靴を脱いでリラックスしながら、和の空間での旅を楽しめるのが新鮮でした。
  • グリーン個室(1~3号車)
    定員1~6名の個室は、プライベートな空間を確保できるだけでなく、内装も木材や革をふんだんに使い、贅沢な雰囲気を味わえます。

美食のひととき ~九州の恵みを味わう~

列車の旅で欠かせないのが食事。今回の赤の路ルートでは、地元熊本市植木町の洋食店「花小町」の特製弁当が提供されました。熊本の四季折々の旬の食材をふんだんに使った御重コースで、地元の風土を感じながら車窓からの景色とともにいただく料理は格別でした。


感動と「感謝」の旅

列車内外で感じたのは、地域の方々のおもてなしの心と、九州という土地の魅力そのものでした。「36ぷらす3」は単なる移動手段ではなく、列車全体が旅の目的地となる体験型観光列車です。

5つのルートを全て制覇すれば、九州7県を巡る旅が完結する「36ぷらす3」。今回の赤の路の旅だけでも、その特別感と魅力を存分に味わうことができました。他のルートもぜひ体験してみたくなる、そんな素晴らしい時間を提供してくれる列車でした。

運転士ならではのこだわりとエピソード

「36ぷらす3」の担当運転士さんは、九州を代表する観光列車の舵を取るという誇りと責任感を感じさせる方でした。旅の合間に話を伺うと、「36ぷらす3」がただの移動手段ではなく、「九州の魅力をお届けする”走る名刺”のような存在」と話してくれました。運行中は、乗客がどのポイントで美しい車窓を楽しめるか、速度の調整やアナウンスのタイミングまで細やかに気を配っているそうです。

さらに、列車ごとに異なる5つのルートについても熱く語ってくれました。「赤の路は海と山、そして九州の食を楽しむルートとして、景色も食事も特別です」と語る運転士さんの目はキラキラとしていて、この列車に携わる喜びが伝わってきました。

無事に鹿児島中央駅へ到着

終点・鹿児島中央駅に到着すると、どこか旅の終わりが名残惜しい気持ちがありました。それでも、列車を降りる際、運転士さんや車掌さん、そして列車スタッフの笑顔と温かい見送りに元気をもらい、「また九州を訪れたい」という思いが強まりました。車内での楽しさ、沿線での出会い、地域の風景と味覚、そして九州全体の魅力が、この旅を特別なものにしてくれました。

一部資料は九州旅客鉄道株式会社®のホームページを使用